C++のqueue::emplaceメソッドの詳細解説

queue::emplaceの概要

C++のstd::queueは、FIFO(First In First Out)の特性を持つコンテナアダプタです。std::queuepushemplaceの2つのメソッドを提供しており、これらは要素をキューの末尾に追加します。

emplaceメソッドはC++11で導入され、直接キュー内にオブジェクトを構築します。これにより、一時オブジェクトの作成や余分なコピーが省略され、パフォーマンスが向上します。

以下にemplaceメソッドの基本的なシグネチャを示します。

template< class... Args >
void emplace( Args&&... args );

このメソッドは、引数argsを使用してキューの末尾に新しい要素を直接構築します。引数は要素タイプのコンストラクタに直接渡されます。

次に、emplaceメソッドの使用例を見てみましょう。

#include <queue>

int main() {
    std::queue<int> q;

    q.emplace(42);  // 42をキューに追加

    return 0;
}

この例では、整数42をキューqに直接追加しています。この操作はpushメソッドを使用した場合と同じ結果をもたらしますが、emplaceはパフォーマンスが向上する可能性があります。特に、複雑なオブジェクトをキューに追加する場合に有用です。ただし、emplacepushのどちらを使用するかは、具体的な状況と要件によります。

queue::emplaceの使用例

C++のstd::queueemplaceメソッドを使用する基本的な例を以下に示します。

#include <queue>
#include <string>

int main() {
    std::queue<std::string> q;

    // 文字列を直接キューに追加
    q.emplace("Hello, World!");

    // キューの先頭の要素を出力
    if (!q.empty()) {
        std::cout << q.front() << std::endl;  // 出力: Hello, World!
    }

    return 0;
}

この例では、std::stringのインスタンスを直接キューに追加しています。emplaceメソッドは、引数をその場で構築してキューに追加します。これにより、一時オブジェクトの作成や余分なコピーが省略され、パフォーマンスが向上します。

また、複雑なオブジェクトをキューに追加する場合にもemplaceメソッドは有用です。以下に、自作のクラスをキューに追加する例を示します。

#include <queue>
#include <iostream>

class MyClass {
public:
    MyClass(int x, int y) : x_(x), y_(y) {}

    void print() const {
        std::cout << "x: " << x_ << ", y: " << y_ << std::endl;
    }

private:
    int x_, y_;
};

int main() {
    std::queue<MyClass> q;

    // MyClassのインスタンスを直接キューに追加
    q.emplace(10, 20);

    // キューの先頭の要素を出力
    if (!q.empty()) {
        q.front().print();  // 出力: x: 10, y: 20
    }

    return 0;
}

この例では、MyClassのインスタンスを直接キューに追加しています。emplaceメソッドは、引数をその場で構築してキューに追加します。これにより、一時オブジェクトの作成や余分なコピーが省略され、パフォーマンスが向上します。このように、emplaceメソッドは、複雑なオブジェクトを効率的にキューに追加するための強力なツールです。ただし、emplacepushのどちらを使用するかは、具体的な状況と要件によります。

C++14とC++17でのqueue::emplaceの違い

C++14とC++17の間でstd::queue::emplaceメソッドの挙動には重要な違いがあります。具体的には、このメソッドの戻り値が変更されています。

C++14までのqueue::emplace

C++14までのstd::queue::emplaceメソッドは、引数をその場で構築してキューに追加します。このメソッドのシグネチャは以下の通りです。

template< class... Args >
void emplace( Args&&... args );

このメソッドは戻り値を持たず、新たに追加された要素への参照やポインタを提供しません。

C++17からのqueue::emplace

C++17からは、std::queue::emplaceメソッドの戻り値が変更され、新たに追加された要素への参照を返すようになりました。この変更により、要素を追加した直後にその要素を操作することが容易になりました。C++17からのstd::queue::emplaceメソッドのシグネチャは以下の通りです。

template< class... Args >
decltype(auto) emplace( Args&&... args );

このメソッドは、新たに追加された要素への参照を返します。

以上が、C++14とC++17でのstd::queue::emplaceメソッドの主な違いです。これらの違いを理解することで、C++のバージョンに応じた適切なコードを書くことができます。

queue::emplaceとpushの比較

C++のstd::queueは、pushemplaceの2つのメソッドを提供しています。これらのメソッドはどちらもキューの末尾に要素を追加しますが、その動作は異なります。

pushメソッド

pushメソッドは、引数として渡された要素のコピーをキューに追加します。以下にpushメソッドの基本的な使用例を示します。

#include <queue>

int main() {
    std::queue<int> q;

    int value = 42;
    q.push(value);  // valueのコピーをキューに追加

    return 0;
}

この例では、valueのコピーがキューに追加されています。pushメソッドは、一時オブジェクトの作成や余分なコピーを伴う可能性があります。

emplaceメソッド

一方、emplaceメソッドは、引数をその場で構築してキューに追加します。これにより、一時オブジェクトの作成や余分なコピーが省略され、パフォーマンスが向上します。以下にemplaceメソッドの基本的な使用例を示します。

#include <queue>

int main() {
    std::queue<int> q;

    q.emplace(42);  // 42を直接キューに追加

    return 0;
}

この例では、整数42が直接キューに追加されています。この操作はpushメソッドを使用した場合と同じ結果をもたらしますが、emplaceはパフォーマンスが向上する可能性があります。

まとめ

pushemplaceのどちらを使用するかは、具体的な状況と要件によります。一般的には、複雑なオブジェクトをキューに追加する場合や、一時オブジェクトの作成を避けたい場合にはemplaceメソッドを使用すると良いでしょう。一方、既存のオブジェクトのコピーをキューに追加する場合にはpushメソッドを使用すると良いでしょう。これらのメソッドの違いを理解することで、より効率的なコードを書くことができます。

投稿者 dodo

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